欧米の研究者が日本の流通システムに注目するのは、それが常に、例えばアメリカやヨーロッパとは著しく異なるからである。日本では1990年代まで、生産者と小売りの間に3つ以上の中間レベルが存在する多層的な流通システムがあった。牛乳の生産など一部の例外を除き、生産者と小売店の間で直接交渉することは非常にまれでした。1995年に日本の小売業を大規模に調査した日本貿易振興会（ジェトロ）の専門家によると、日本の小売業の発展度は、米国などに比べて少なくとも15年は遅れているという。 日本の流通の主な特徴として、次のようなものが多く挙げられた。
メーカーや卸売業者のグループが管理する多層的な流通経路。
小売業における小規模事業者の優位性。
小売業における生産性の低さ。
日本は歴史的に「古風」な小売業の構造を持っており、伝統的に小規模なオーナー制の小売業が主流であった。15年ほど前まで、日本の繁華街には、常連客を相手にする小さな店が文字通りひしめき合っていた。これには、いくつかの理由があった。まず、日本の街区は混雑していることが多く、有料の駐車場もほとんどないため、日本人は昔から徒歩か、せいぜい公共交通機関で買い物に行くのが普通だった。そのため、小売業は地域化され、日本人は自宅や職場の近所で買い物をするように誘われるようになったのです。第二に、日本人は大量に買い物をせず、日常の買い物を小分けにすることを好んだ。これは、新鮮な食材を使うことが義務づけられている日本料理の伝統によるものでもある。
しかも、小規模な小売業は、政府が優先的に法制化し、大規模な小売業を脅威とみなすという、いわば「お抱え商法」状態であった。1959年に制定された「中小小売商業支援法」と「民間企業振興法」は、特に中小小売業の発展を目的としたものである。1973年に成立した大店法は、大型店との競争を緩和することを目的としたものであった。この法律により、営業時間が制限され、1979年の改正後は売り場面積も制限された。80年代になると、売り場面積が500平方メートル以上の店は大型店とみなされ、新規出店には面倒な手続きが必要になった。
当時の法律では、大型店の出店には役所の許認可が何度も必要で、しかも競合するはずの小規模小売店の同意書も必要だった。交渉が何年も長引くこともあった。当然、小規模な小売店はそのような状況でもかなり安心し、確実に数字を独占していた。当時の日本の小売業は、人口1,000人あたりの店舗数が多く、その結果、人口比率が比較的低いという特徴がありました
日本の法律は、地元の大手小売業者の成長を抑制するだけでなく、あらゆる方法で外国企業の小売サービス市場への参入を制限した。これに対して日本のビジネスマンの間では、「外国人は無駄に日本政府が外国企業に対して不公平で偏見があると非難するが、日本企業に対しても同じように不公平である」というジョークがあった。
しかし、日米間の政府間交渉の結果、1990年代初頭までに、大規模小売業者に対する政府の政策を転換し、米国企業による日本の消費市場へのアクセスを容易にするための一定の前提条件が確立されたのであった。その後、法改正が行われた。新しい法律の下でも、小規模小売店には店舗の営業時間を設定できるなどの利点があったが、1992年の「大規模小売事業法」では、出店の認可手続きが大幅に簡素化された。同時に、1992年に「特定小売店舗立地法」が制定された。これらの変化は、立法環境を根本的に変え、大規模小売業者の成長に拍車をかけた。以下のデータは、立法環境の変化の結果、日本の小売構造に生じたいくつかの変化を評価することができる。
